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虚血性疾患
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病名:虚血性心疾患
心臓の筋肉=心筋へ酸素と栄養を補給する冠状動脈の血液の流れが悪くなりますと,血液不足からくる心臓の疾患となるのを総称して虚血性心疾患といいます。この疾患は狭心症と心筋梗塞の2つに大別されます
狭心症は冠状動脈の動脈硬化や痙攣による一時的な血液不足から生じます。心筋梗塞は冠状動脈の閉塞=詰まりから心筋の一部が壊死して起こる疾患です。
主症状
血液を全身に送りだす心臓は1分間に約5リットルという血液を送り出すポンプの役割を果たしています。これが何らかの原因で冠状動脈を流れる血液量が極端に減少しますと,たちまち胸が締め付けられるような鋭い痛みの狭心症発作が起こります。そして長いこと十分な血液が供給されなかったり途絶したりしていますと,エネルギー不足から心筋の一部が壊死し,心筋梗塞を発症させてしまいます。
狭心症は胸の痛み,不快感があらわれます。発作は短時間です。心筋梗塞も胸の痛み,不快感がありますが,その症状は長く続きます。
診断
狭心症の最大の原因は,冠状動脈の動脈硬化にあります。血液中のコレステロールや血小板などが沈着しますと,血管の内膜にゼリー状の粥状硬化を引き起します。この粥状硬化が次第に成長しますと動脈の内腔を押しつぶすような状態になります。そのため動脈内は狭くなって,十分な血液が流れなくなって狭心症を発症させてしまいます。狭心症発症の冠状動脈の狭さは本来の太さの4分の1以下になると発症するといわれています。このような動脈硬化が進んでいない場合でも,冠状動脈が痙攣=攣縮して細くなりますと,一時的に動脈が閉塞することも珍しくありません。冠状動脈の狭窄の上に,痙攣が起こって狭心症発作になる例は数多くあります。
狭心症の診断でも問診からはじまって運動負荷心電図やホルター心電図など各種の心電図検査,血液検査などで行います。このような検査で狭心症が発見されるのは6,7割で,冠状動脈のどの部位に病変が起きているかは発見できません。よって,正確な診断と治療方針を立てるためには,ラジオアイソトープ検査,選択的冠状動脈造影法を行う必要があります。
ラジオアイソトープ検査はテクネシウムやタリウムなど放射性物質を静脈から注入し,心臓に到達したころを見計らってガンマ・カメラで撮影する方法です。酸素不足をしている心筋が,心筋シンチグラムという画像にはっきりと映し出されますから,狭心症の有無を確認できます。
選択的冠状動脈造影法は,局所麻酔下の上腕の動脈か大腿動脈からカテーテル=細い管を差し入れ,冠状動脈の入り口まで挿入します。その後,造影剤を注入してX線撮影します。これは,冠状動脈の狭窄部位だけでなく,狭窄の程度まで確認できる利点をもつ検査です。

心筋梗塞の診断は,心電図検査や血液検査,胸部X線検査,超音波心エコーなどで壊死した部分やその広がり,心臓の状態や合併症の有無を大まかに確かめます。その上で,選択的冠状動脈造影法を行い壊死の場所や広がりを正確に確認し,治療方針を立てます。

治療
狭心症は薬物療法が基本となっています。その薬物は冠状動脈の動脈硬化の治療薬や痙攣防止の薬の服用です。また,狭心症発作を起したときは,ニトログリセリンやニトロールなど冠状動脈の内腔を広げ血流を改善する薬を服用します。薬物療法で効果が出にくい場合や,高度な狭窄が生じている場合は,バルーン療法で血管を広げます。経皮経管的冠状動脈形成術=PTCAは,先端に細長いバルーン=風船のついたカテーテルを大腿の付け根から冠状動脈の狭窄部まで挿入し,そして風船を膨らませて,その圧力で狭くなった血管を広げる方法のものです。再度狭窄を起す可能性は高い療法ですが,患者負担の少ない内科的治療法としてあります。
高度な狭窄が存在し,甚だしく血流の低下をきたしているときは,大動脈−冠状動脈=A−Cバイパス手術が行われます。大腿部の皮下から静脈を切り取り,開胸して狭窄部の近くにその静脈血管を植え込み,新規に血流のバイパスを設ける手術が行われます。
心筋梗塞は治療に寸刻を争うものです。狭心痛だけでなく,しばしば心不全や不整脈,心臓破裂など死に直結するさまざまな合併症を同時に引き起こします。そのために心筋梗塞を起すと,冠状動脈疾患集中治療室=CCUへ運び込み,治療を施行します。発作が起きてから6時間以内に血栓溶解療法=PTCR等の適切な治療を行えば,心筋の壊死は最小限にくい止められます。それ以上の時間を経過すると,心筋は壊死を生じてよみがえりません。

心筋梗塞の重要な治療ポイントは,できるだけ早く血栓を除去,血流の再開による壊死の拡大を防止します。それと同時に,壊死によって弱まった心臓の収縮・拡張の機能を助けます。PTCRは急性心筋梗塞発症後6時間以内に行われる緊急治療です。血栓により閉塞した冠状動脈内に血栓溶解剤を注入し,血栓を溶かして血流の再開をはかります。大動脈バルーン・パンピング法は弱った心臓を助ける治療です。太股の付け根からバルーンのついたカテーテルを冠状動脈付近の大動脈まで挿入し,心臓の収縮・膨張のリズムに合わせてバルーンを膨らませたりすぼめたりする方法です。これは心筋が再び正常な働きを回復するまでの緊急避難的治療法です。
また,狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は再発する可能性が高いので,治療後も専門医の定期的診断と指導を受けることが不可欠です。


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