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眼のガン
眼の構造部分に発生するガンには,眼の奥の眼窩腫瘍,硝子体の眼球内部の網膜細胞腫,ブドウ膜メラノーマなど,およびまぶたや結膜にできる眼瞼腫瘍があります。そのなかで,代表的なものは,網膜芽細胞腫と眼瞼ガンです。網膜芽細胞腫は乳幼児特有のガンです。このガンは網膜になる前の網膜芽細胞から発生するものです。このガンは生まれる前にガンが発生したもので,瞳が白っぽく光る白色瞳孔の特徴があります。超音波検査やCTによって進行度が容易にわかりますので,腫瘍が5ミリより大きいものなら放射線療法で,それより小さければ,光化学療法や熱凝固療法などで眼球を保存いたします。腫瘍が視神経や強膜外に浸潤していますと,眼球摘出手術が行われます。眼瞼ガンは厳密には皮膚のガンですが,眼科の領域のガンとして取り扱われています。腫瘍が小さければ,ガンは切除され,その後は縫合して治癒したことになります。
骨のガン
骨にできるガンの大半は骨肉腫です。10歳前後の成長期の子供に多い悪性腫瘍です。骨肉腫の発生しやすいところは,大腿骨の下端で,次いで脛骨の上端といった長めの骨にでき,短い骨にはめったにあらわれません。上腕骨の上端をはじめ,大腿骨の下端,腓骨や脛骨の上端に発生しますと関節の痛みが起こります。診断には,放射線同位元素=ラジォアイソトープを静脈に注射して放射線の検出をする画像診断する骨シンチグラフィーやX線撮影で検査します。治療は,現在はシスプラチンなどを用いた化学療法と外科治療により,足や腕を可能な限り温存することにしています。しかし,成長期の子供さんの足に発生した場合は,人工関節置き換え療法では左右の足の長さが異なってきますので,切断して義足をつける処置をとるものがあります。骨そのもののガンでなく,骨周りの筋肉や脂肪,血管,神経などの軟部肉腫のガンでは,化学療法で腫瘍を小さくした上で手術で除去します。
皮膚ガン
皮膚にできるガンには3つの種類があります。基底細胞ガンと有棘細胞ガン,メラノーマです。基底細胞ガンは皮膚ガンの大部分のガンです。このガンは,主に顔と頭にできます。有棘細胞ガンは皮膚ガンは体のどこにでも発生します。メラノーマはメラニンという色素細胞がガン化したものです。皮膚は,体表から表皮,真皮,皮下組織=皮下脂肪の3層を成しています。表皮は角質層,頸粒層,有棘細胞層,基底細胞層の4つに分けられます。基底層の下部にはメラニンという色素をつくる色素細胞が点在しています。皮膚ガンは,この表皮に発生するガンで,いずれも長いこと表皮内にとどまる前ガン症が続きます。赤褐色の斑点ができる日光角化症や,紅褐色や黒褐色の色素性病変があらわれるボーエン病湿布のようにみえるパージェット病,はじめは小さな褐色のシミでしかない悪性黒子などの前ガン症や,ガンの進行が真皮の浅い層にとどまっている早期ガンは,切除によりほぼ100%完治します。治療は,化学療法や放射線療法,免疫療法を組み合わせることもあります。
卵巣ガン
卵巣ガンの病期は次の通りです。
T期=ガンが卵巣内にとどまっている
U期=ガンが骨盤内=子宮などにとどまっている
V期=ガンが腹腔内に広がっている
W期=肺などへの遠隔転移がある
卵巣ガンは初期にはほとんど症状の出ないガンですから早期発見の困難なガンです。体の奥深いところにあるために検査しにくいために発見が遅れるのです。集団検診の対象にならない30歳未満の若い女性にも多く発生するガンであるために発見されたときはガンはかなりに進行しています。治療は手術による切除が基本となっています。子宮と周辺組織も一緒にとってしまうのが一般的です。しかし,抗ガン剤を使う化学療法は非常に効果のあることが知られています。そのために,手術する前に化学療法でガンをできるだけ小さくしてから手術したり,術後のガン再発予防に抗ガン剤が多く使用されています。
内分泌線のガン
体の正常な発達と健康維持に必要な一定の機能を制御している体内物質であるホルモンをつくる臓器が内分泌腺=内分泌器官で,脳の下垂体や甲状腺,副腎などがあります。その内分泌腺に炎症や腫瘍が発生しますと,そこで分泌されるホルモンに不足あるいは過剰が生じます。その結果,特徴的な症状をあらわす病気になります。内分泌腺のガンは,甲状腺をはじめ,副甲状腺,副腎などのガンがあります。甲状腺のガンになりますと,甲状腺ホルモンの分泌量の増減がありません。大部分のものは,長い期間経過しても大きくなりません。頸部の周囲リンパ節に転移するだけで他の臓器に転移することは少ないものですが,中には,非常に増殖と転移の早いガンもあります。副甲状腺と副腎の腫瘍ではホルモンの分泌が増えてしまう症状となります。過剰になりますと,副甲状腺の場合は血液の中のカルシウム濃度が上昇する高カルシウム血症となります。副腎の場合は高血圧や低カリウム血症をきたす多発性アルドステロン症や,顔がまん丸くなるムーンフェイス症状となるクッシング症候群となります。いずれも大部分は良性腫瘍ですから手術で摘出すれば治癒します。
子供のガン
神経芽細胞腫とウイルムス腫瘍が小児ガンの主なものです。神経芽細胞腫は交感神経系の細胞がガン化するもので,腹部の交換神経節のあるところにでも発生することがあります。特に,副腎に多くみられます。4歳未満の患者が80%という高率です。わが国では,早期発見のために生後半年ごろ,数多くの中から篩い分けするマス・クリーニングが行われています。全国規模の実施は日本だけ行っています。神経芽細胞腫はカテコールアミンというホルモンを産生しますので尿検査で検査します。確定診断は,X線検査や全身の骨の画像診断を行います。治療は手術と化学療法を組み合わせて行います。ウイルムス腫瘍は腎芽細胞腫ともいわれています。腹部にしこりがあったり,血尿が出るなどの症状があります。治療は腎臓の摘出手術と化学療法が行われます。早期発見として転移の少ない年少時ほど治癒率の高いガンと知られています。